SNS運用の価値は、再生回数ではなく「認識変容の設計」にある

  • 2026.05.29

SNSマーケティングの市場が拡大する中で、企業のSNS活用はもはや特別な施策ではなくなりました。

採用、集客、ブランディング、インナーブランディング。目的は違えど、多くの企業が何らかの形でSNSを活用し、自社の情報を届けようとしています。

一方で、SNS運用の現場では、いまだに「何を投稿するか」「どうバズらせるか」「どのフォーマットが伸びるか」というコンテンツ単位の議論に寄りがちです。もちろん、フォーマットやクリエイティブの強さは重要です。しかし、SNSを企業の成果に接続する上で本当に問うべきなのは、コンテンツの表現そのものではなく、重要なのは、誰の、どの認識を、どう変えるためのコンテンツなのかという設計。KUTSUHIMOでは、SNSを単なる発信チャネルではなく、企業が選ばれる理由を伝え、ユーザーの認識と行動を変化させるための接点として捉えています。

本日は、私たちが日々の商談やコンテンツ設計の中で大切にしている、
「再生されるSNS」ではなく「選ばれるSNS」をつくるための考え方についてお話しできたらと思います。

「伸びるコンテンツ」と「効くコンテンツ」は違う

SNS運用において、再生回数は最も分かりやすい指標の一つです。

アルゴリズム上の評価、接触量の拡大、認知獲得という観点では、再生回数を伸ばすことには明確な意味があります。しかし、再生回数が伸びたからといって、必ずしも企業理解や意思決定につながるわけではありません。

ここで重要なのは、伸びるコンテンツと、事業に効くコンテンツは必ずしも一致しないという前提です。

トレンド音源を活用する。
業界あるあるを投稿する。
社員を前面に出した親しみやすい企画を展開する。
エンタメ性の高いフックで視聴維持を取る。

これらは、再生数を獲得する上では有効な場合があります。ただし、そのコンテンツが企業固有の価値や選ばれる理由に接続されていなければ、ユーザーの中に残るのは「面白かった」という印象だけで終わってしまいます。

企業SNSにおいて必要なのは、ただ視聴されることではありません。

視聴された結果、その企業に対する理解や印象がどう変わったのか。そして、その変化が次の行動にどうつながったのか。この観点を持たない限り、SNS運用は「再生回数は取れているが、事業成果との接続が弱い」状態に陥りやすくなります。

指標は「接触量」から「態度変容」へ

SNS運用の成果を考える上で、再生回数やフォロワー数だけを見るのは不十分です。

重要なのは、その接触がユーザーの態度変容につながっているかどうか。

たとえば、動画視聴後にプロフィールへ遷移したか。
他の投稿を閲覧したか。
保存・コメント・シェアなど、能動的な反応が生まれたか。
採用ページ、LP、問い合わせ、公式LINEなどの次の接点へ移動したか。

これらは、単なる視聴ではなく、興味形成が起きたサインです。

特に採用や高単価商材、比較検討期間の長いサービスにおいては、SNS上で即時コンバージョンが発生しないことも多くあります。だからこそ、SNSをラストクリックだけで評価するのではなく、認知・興味・理解・比較検討のどこに作用しているのかを捉える必要があります。

SNS運用における評価軸は、今後ますます「どれだけ見られたか」から、どの認識を変え、どの行動を生んだかへ移っていくはずだと考えています。

SNS戦略の起点は、訴求ではなく「未選択理由」の特定

SNSで成果を出すためには、企業の魅力を整理するだけでは足りません。むしろ重要なのは、ターゲットが今その企業を選んでいない理由を特定することです。

採用であれば、求職者がその会社を知らないのか。
業界に対してネガティブな印象を持っているのか。
仕事内容を具体的に想像できていないのか。
自分が活躍できるイメージを持てていないのか。
他社との違いが分からないのか。

集客であれば、価格以外の価値が伝わっていないのか。
来店する理由が弱いのか。
サービス体験後の便益が想像できていないのか。
比較対象との差分が曖昧なのか。

この「選ばれていない理由」を特定しないままコンテンツを制作すると、発信内容はどうしても表層的になります。

「雰囲気が良い」
「成長できる」
「こだわっている」
「お客様に寄り添う」
「裁量権がある」

こうした言葉は、多くの企業が使っています。差が出るのは、その言葉をどう証明するかどうか。SNSコンテンツの役割は、企業が持つ価値を、ユーザーが納得できる具体的な場面へ翻訳することです。

SNS運用会社に求められる役割も変わっている

近年、SNS運用会社に求められる役割も変化してきていると感じています。

以前であれば、投稿制作や運用代行、トレンド理解、編集力、運用体制そのものが価値になっていました。もちろん、これらは今でも重要ですが、SNS活用が一般化した今、単に投稿をつくれることだけでは差別化しづらくなってきており、これから求められるのは、企業の事業構造や採用課題、競争環境、ユーザー心理を理解した上で、SNS上の接点を設計できる力だと思っています。

企業理解。
ターゲット理解。
未選択理由の特定。
訴求軸の設計。
コンテンツへの翻訳。
媒体ごとの役割設計。
行動導線の設計。
効果検証と改善。

など、この一連のプロセスを担えるかどうかが、SNS支援会社の提供価値を分けていくと考えています。KUTSUHIMOが目指しているのも、単なる投稿代行ではなく、企業が選ばれる構造そのものをSNSを起点に設計する支援です。

おわりに

SNS運用において、再生回数はあくまで接触量を示す一つの指標であり、最終目的ではありません。

本当に見るべきなのは、その接触によってユーザーの認識がどう変わったのか。そして、その変化がどの行動につながったのかです。企業SNSに求められるのは、ただ面白い投稿をつくることではなく、企業の中にある価値を見つけ、それを届けたい相手に伝わる形へ翻訳し続けることだと考えています。

その積み重ねによって、
「この会社、少し気になる」
「もう少し知ってみたい」
「一度話を聞いてみたい」
という小さな変化が生まれていく。

SNSは、企業の価値を伝え、認識を変え、意思決定に影響を与えるための戦略的な接点です。

KUTSUHIMOは、これからも動画そのものではなく、企業が選ばれるための認識変容と行動変容を設計していきます。